





イギリス出身の建築家、David Chipperfield(デイヴィッド・チッパーフィールド)は、都市背景へのアプローチや、現存する建物やモニュメントを再利用する才能、そして彼の繊細で控えめな色使いが高く評価され、2015年に、1960年より続くオランダで最も歴史の深いインディペンデントな芸術賞であるSikkens Prize(シッケンズ・プライス)を受賞した。
自身の用いる色や素材は画期的な刷新というわけではなく、建築におけるロジカルな因果関係に基づいたものであると考えていたので、彼にとってこの受賞は驚きであった。しかし、彼はその認識を色の役割を反映する奨励と解釈した。チッパーフィールドの建築は建物自体の独自性を尊重し、その場所に意味のある環境を作る。彼がデザインし、経験し、学ぶことをやめない限り、常に変化と再解釈へと開かれている。
受賞記念で出版された本書は、彼が1997年〜2009年の間に再建築したドイツ・ベルリンのNeues Museum(新博物館)を中心に、これまでの仕事を例に挙げながら、チッパーフィールド建築について言及している。元の状態を捉えたモノクロの図版の上に、新たに彼が設計した状態を捉えたカラーの図版を重ね合わせるようにした造本によって、彼の「建物自体の独自性を尊重する」という設計における思想が的確に伝わってくる。
Artez Press / 46ページ / ペーパーバック / 210 x 160 mm / 9789491444302 / 2016年