スイスのデザインスタジオ「Prill Vieceli Cremers」による作品集。本書はその名の通り紙幣に印刷されている絵柄で構成された一冊。政治的なメッセージや、歴史的に重要な出来事、優れた人物、ステータスシンボルや風景などが描かれており、紙幣が理想的な世界を賛美する小さなポスターとも形容できる存在であることを示唆する。例えばユーロ紙幣では、橋の絵柄によって団結したヨーロッパ諸国のイメージを伝えようとしている。2002年に初めてユーロが通貨として誕生した際、およそ127億枚のユーロ紙幣が流通した。つまり127億の橋が理想の世界を作るために作られたということである。「肉体労働に従事する筋骨隆々で幸せそうな労働者たち」のように、紙幣の絵柄は物語を表現し、権力を賛美する。そしてそれは教育にも繋がり、また動物誌のように多くの生き物と夢のような風景のなかに在る。また国が異なっていても、紙幣の絵柄にはしばしば同じようなモチーフが繰り返し使われることがある。人間の姿は哀愁に満ちた形で描かれ、彼らの身振りと表情は世界中のどこでも解釈しやすいように表現される。 本書では、ドイツ人哲学者のヴァルター・ベンヤミン(Walter Benjamin)が言うところの「紙幣の装飾から語られるスピリット」を喚起させ、どういった絵柄が紙切れの上に印刷され、無価値なものを価値のあるものへと変化させてきたのかを紹介している。
(ディストリビューターのテキストより)
Edition Patrick Frey / 256ページ / ハードカバー / 330 x 240 mm / 9783905929911 / 2015年
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