リック・ファン・デル・クルースターは、幼少期の夏を母親とともにアルプスで過ごした経験を通じて、風景と記憶、親密さと場所との深い結びつきを培ってきた。
2013年、母が末期の病に倒れたことを契機に、アルプスという土地が二人にとってどれほど象徴的な意味を持っていたかをあらためて認識するに至った。クルースターにとってその風景は、現実から遠ざかることなく母と再び出会うことのできる、精神的な避難所となった。
しかし、母を喪うことへの恐れは、彼を長らく「母の山」から遠ざけた。何年もの間、彼は現実ではなく夢の中でその場所を訪れ、母の営んでいたゲストハウスを歩き、死者の存在と生者の在り方について想像の中で対話を重ねていた。そして2018年、ついに彼は再びその地を訪れ、写真を通じて喪失と記憶を視覚化するプロジェクトに着手した。
本書は、個人的な悲しみと再訪の体験を出発点とし、風景を媒介にして死と向き合い、自然との新たな関係性を模索する作品集。
山岳風景の中に刻まれた記憶の痕跡、流動する水と静止する岩との対比、そして時間とともに変容する感情のありようを繊細に描き出している本書は、喪失という普遍的な主題に対する詩的かつ静謐な応答であり、自然の中に宿る心的風景への深いまなざしを提示している。
Henk Wildschut / 128ページ / ソフトカバー / 290 x 240 mm / 9789083451077 / 2025年
Other Items
-
- Print, Object, Spread, Trace ― POST and Fifteen Years of Art Books, 2011–2026
- 8,250 JPY
-
- Comme des Garçons Parfums 1994–2025
- 24,200 JPY
-
- Charlotte Dumas / Entendue
- 7,920 JPY
-
- Robert Frank / Books and Films, 1947-2016
- 2,200 JPY
-
- 群れた島々と キノコたち / Islands, Islets, and Their Mushrooms
- 2,970 JPY
-
- Sofia Coppola / ARCHIVE
- 18,150 JPY