アメリカの写真家アーロン・ロスマンは、長きにわたりアメリカにおける荒野観を形作ってきたシエラネバダ山脈を、今日の気候変動危機という文脈から捉え直した作品を制作した。彼は、大判フィルムによる撮影とデジタル・ポストプロダクションを組み合わせ、6年の歳月をかけて約50点のカラー写真からなる本書をまとめている。
本書は、山岳地帯に身を置く身体的な体験を喚起しつつ、シエラネバダ山脈を変貌させつつある環境変化を記録し、風景表現の歴史との対話を試みる。作者にとってこの地は、写真を始めた原点でもあるが、近年は森林火災や煙霧といった気候変動の影響により、恐怖や喪失感を伴う場所へと変化している。こうした個人的な愛着と環境の不確実性が交差する関係性こそが、本作の核となっている。
雄大でありながら脆い風景に向き合う本書は、自然を人間から切り離された存在としてではなく、人間の影響と絡み合いながら変化し続ける空間として捉え直すことを促す。美しくも不穏なイメージを通して、その二面性を提示する一冊である。本書には、著名な美術評論家・作家であるリア・オルマンによるテキストも収録されている
The Eriskay Connection / 112ページ / ハードカバー / 292 × 240 mm / 9789493363311 / 2025年
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