アメリカ出身の写真家、Robert Adams(ロバート・アダムス)の表現する写真作品の根底には、「人間と自然の境界線」という共通したテーマがある。第二次世界大戦後、大量生産・消費の時代を迎えたアメリカの状況に対して、経済成長にも自然礼賛にも傾倒することなく、極めて中立的なスタンスでその劇的な変貌を見つめてきた。
本作の舞台は、アメリカ・コロラド州にあるロッキー山脈の麓に位置する街。ここは、彼がアメリカ南西部における郊外の典型とみなして記録をしていた土地だ。高速道路、トラクト・ハウス(*1)、低層の社屋やサイン。こうした商業的なアイコンがもつ通俗的な印象からは乖離され、山や野原といった自然物のごとく、この土地の地理的形状を成すいち構成要素として写しだされている。錚々たる出版社から再版が繰り返されてきた本書の初版から40年の節目を記念して、2016年にSteidl社より復刊された。高い印刷技術が後ろ盾となった豊かな階調で表現されたモノクロームの世界は、放たれる光と影のコントラストがまばゆく美しい。
※注釈
*1 トラクトハウス:規格化された団地開発型戸建住宅のこと。日本の建売住宅と通じるものがある。
Steidl / 136 ページ / ハードカバー / 248mm × 225mm / 9783869309002 / 2016
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