オランダのグラフィックデザインの礎を築いたWim Crouwel(ウィム・クロウェル)の功績のうち、とりわけ美術館のアートディレクターを歴任したことは傑出している。当時はオフセット印刷が出始めたばかりの頃で、現在の技術と比べるとエッジの処理が甘かったりと、やや風合いのある仕上がりになっているところに時代性があわられる。展示作品のイメージをそのまま起用するのではなく、その特性を抽出してデザインに落とし込む点、また特色やグラデーションといった特殊な仕様を臆することなく試みる点に、彼の実験的で果敢な精神性をみることができる。ポスタービジュアルのほか、別冊で彼が開発したタイプフェイスの見本帳を収録している。本書は、2012年にlimArtで開催されたのち、blind galleryに巡回した展覧会にあわせて刊行された。
blind gallery / 24 ページ / ソフトカバー / 300mm × 210mm / 2012