







脚を広げた若い女性。街路にいるきちんとした身なりの雇用者。ごくプライベートな光景と、そして名もなき通行人のスナップショットといった対照的な写真が織り混ざる。これこそ、その構成員に対して道徳的責任を問う、日本社会における異質性に対する荒木経惟の初期の記録だ。
C/O Berlinで開催された個展にあわせて出版された本書は、荒木の初期作品群で構成される東京シリーズと、近年のポラロイト・コラージュから選出した作品群、そして新たに発展したスライドショーとを組み合わせたものだ。そのすべてが匿名性と親密さ、公的および私的な領域、現実と夢との間にある矛盾を探る。
荒木という伝説的な写真家は、今日においてもっとも影響力のあり、かつ広く議論の的となるアーティストであるが、彼は裸体、性的関心、そして身体を被写体に、ラディカルかつ写実的なやり方で表現することで知られている。彼は主題と極端に感情的で肉体的に接近することを通じて、ただ彼らの生涯の一部になるだけではなく、彼自身の写真において中心的な役割を果たし、かくして盗撮を超える。Nan Goldin(ナン・ゴールディン)、Larry Clark(ラリー・クラーク)、Boris Mikhailov(ボリス・ミハイロフ)とともに、荒木は親密かつ主観的な写真表現におけるパイオニアのひとりだ。
Steidl / 368ページ / ハードカバー / 260 x 205mm / 9783958295537 / 2018年