写真家のスティーブン・ショアはウィリアム・エグルストンと並び、カラー写真をアートに押し上げた人物として知られている。
本書は1977年、ニューヨーク州、ペンシルバニア州、オハイオ州東部など、後に「Rust Belt(錆びた地帯)*」と呼ばれる産業衰退の真っ只中にある地域をショアが旅しながら撮り集めた写真を収録している。このシリーズはフォーチュン誌がウォーカー・エヴァンスの流れを汲む写真レポートとしてショアーに依頼したものであった。
工場閉鎖で職を失った鉄鋼労働者たちとの出会い、荒廃した工場、寂れたバー、衰退したメインストリート、愛情を込めて飾られた家など、彼らの突然壊れてしまった世界が写し出されている。
希望と絶望の両方が、店先や家の中、そしてショアーの4 x 5インチビューカメラに対峙する人々の苦悩に満ちた表情の裏に、落ち着きなく潜んでいるのだ。
*Rust Belt(ラストベルト)とは、アメリカ合衆国の地域と大西海岸中部地域の一部に渡る、脱工業化が進んでいる地帯を表現する呼称である。「Rust」は「錆」という意味で、使われなくなった工場や機械を表現している。
Mack / 128ページ / ハードカバー / 305 x 240 mm / 9781913620066 / 2021年
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