







戦後、西欧の美術がハプニングやインスタレーションを特徴としていた頃、ハインツェンドルフ(現在のポーランド、後のシレジア)生まれのライムント・ギルケ(Raimund Girke)(1930-2002)は、美術をキャンバスや紙に絵具を塗る平面と捉え続けていた。デュッセルドルフ美術アカデミーで学んだ仲間たちが立ち上げたZERO運動のアーティストたちと何度か展示を行ったが、その一員にはなりたくないという思いがあった。ギルケの作品群に確実に当てはまる言葉は、絵画だけである。
本書は、ライマン、アントニオ・カルデラーラ(Antonio Calderara)、ギュンター・ウッカー(Gunther Uecker)など、尊敬するアーティストや友人と呼べるアーティストとの関係を整理しながら、ギルケがこれらの異なる運動に参加したことを初めて概観するものである。また、ドクメンタ6(1977年)やヴェネチア・ビエンナーレ(1990年)など、ギルケが参加した重要な歴史的展覧会を特定し、その技法や色調の変遷を考察している。展覧会や集会の歴史的写真、招待状、ポスター、カタログの複製とともに文脈をなしてる一冊。
Borgerhoff & Lamberigts / 534 ページ / ハードカバー / 300 x 254 mm / 9789463935388 / 2022