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Ulala Imai / The scene

11,000円

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今井麗は、1982年生まれの日本人画家で、生まれつき難聴をもっている。小学生の頃から、油絵画家だった父・今井信吾の影響で油絵を始め、静物画を中心に、食卓や果物、ぬいぐるみなど、身近なモチーフを描いている。 本書は、2022年7月から9月まで、ニューヨークの「Karma Gallery」で開催された展覧会に伴い刊行された。同ギャラリーでの個展は作者にとって初となる。テキストはインディペンデント・キュレーターのダグラス・フォーグル(Douglas Fogle)、「ソロモン・R・グッゲンハイム美術館(Solomon R. Guggenheim Museum)」ギャラリー・ガイドのナム・ヒジ(Hiji Nam)が寄稿。 作者の内なる空想の構図の中に生息しているのはテディベアや、おもちゃ、フルーツである。このシリーズでは、ささやかな瞬間が鮮やかに、そして生き生きと描かれている。ナム・ヒジは、作者が「ピーナッツコミックス(Peanuts comics)」や「スターウォーズ(Star Wars)」などのポップカルチャーを引用し、繊細なスティル・ライフ的作品で「魔法のようなマニエリスムの童話的な世界」を生み出していると述べている。 花々の中には人形が添えられ、熟れすぎたバナナと金のテディベアが溢れんばかりの輝きをまとい、「スターウォーズ」のフィギュアがあぜ道を立ち阻み、月光が木の枝にかかり、鹿が森の前で立つ。その淡く繊細な絵画は、素早く迷いのないストロークによって、優美な現実を描き出している。作者はこの現実における被写体を記憶として留め、壮大なスケールをもって、鑑賞者を自身の世界観に引き込んでいく。 アーティストのディエゴ・ベラスケス(Diego Velázquez)とエドゥアール・マネ(Édouard Manet)からの影響が、描画における大きなジェスチャーと光の表現をもって作者のスタイルを確立させた。時に「Ophelia(Lucy)」(2022年)のように、特定の文脈を元に制作することもある。この作品では、作者が歴史深い絵画の伝統のもと、シェイクスピア(Shakespeare)による「ハムレット(Hamlet)」に登場するヒロイン、オフィーリアの悲劇の死を「ピーナッツ」のルーシーに重ねて描いている。この慎み深い振る舞いは、同じく「ピーナッツ」のルーシーとチャーリー・ブラウンが木の上に座り、いわゆる一般的な恋人同士のパートナーシップを体現している作品「Lovers」(2022年)で対をなしている。作者は至る所で自身が扱う対象の優しい一瞬を捉えるべく、それぞれの感情を掘り下げている。丁寧に、日常が非日常となる儚い瞬間の移り変わりへと鑑賞者を導くのである。そうして、人生における最も重要な出来事は前触れなく現れ、「何気ない細部にこそ、その真価は発揮される」という誰もが必要としていることを思い出させる。 (ディストリビューターのテキストより) Karma / 140ページ / ハードカバー / 310 x 260 mm / 9781949172942 / 2024年

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