本書は、寡黙で知られ、回顧展や取材などを一貫して避けてきたブルース・ナウマンが、珍しくも承諾した貴重な公式モノグラフである。
『Newsweek』誌の美術批評を長年担当したピーター・プレイゲンズ(Peter Plagens)が長年にわたり構想してきた本書では、ナウマンの作品と思想が、歴史的背景、批評的視点、そして著者自身の体験を通して、多層的に描き出されている。
ネオン作品やヴェネツィア・ビエンナーレの歴史といった逸話を交えつつ、1970年代のロサンゼルスでの隣人としての視点からナウマンの人物像にも迫るなど、本書は単なる作家論にとどまらず、現代アート界の一断面を捉える文化的ドキュメントでもある。ナウマンという“総体化を拒む”存在に最も近づいた一冊として、今後も長く参照される決定版となるであろう。
PHAIDON / 288ページ / ハードカバー / 305 x 238 mm / 9780714849959 / 2014年