本書は、イタリアの建築スタジオAssociates Architectureによるリサーチプロジェクトをもとに編まれた一冊。日常に潜む美を主題とし、「普通であること」の価値を建築的視点から再定義する試みである。
イタリア各地で活動する複数の建築事務所による事例を収録し、住宅や公共空間、産業施設など、一見すると特別ではない環境に焦点を当てている。これらのプロジェクトを通じて、日常的な風景や空間の中にこそ豊かな質や意味が宿ることを示しているのである。
また、本書は単なる作品集にとどまらず、建築家や研究者による論考を交えながら、「日常」と「美」の関係を批評的に読み解く構成となっている。人々の生活や社会的背景に根ざした設計の重要性を強調し、建築が果たすべき倫理的役割についても問いを投げかける内容である。
『Ordinary Beauty』という概念のもと、特別な造形や象徴性ではなく、むしろありふれた状況の中に見出される価値を丁寧に掬い上げることの意義を提示する一冊である。現代建築における新たな視座を提示し、日常の再評価を促す一冊。
Caryatide / 208ページ / ソフトカバー / 320 × 240 mm / 9782493283269 / 2025年
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