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アメリカ出身の写真家、Irving Penn(アーヴィング・ペン)は、主にファッションの世界での仕事やポートレイト写真でその名が知られているが、実は静物写真についても高く評価されている。
ニューヨークの道端に捨てられたタバコの吸い殻を拾い集め、そこから厳選して被写体にした本作は、8×10の大判カメラに顕微鏡用レンズを装着し、極めてミニマルな構成をとる。この表現を通じて、彼は消費社会の最も広く消費され廃棄された製品のひとつを、純粋な砕屑物から現代の文化の象徴的表現に変容した。この斬新な行為は、ポストモダンの芸術的実践において、最もエレガントでありながら、直接的な表現のひとつだと言えるだろう。なお、本作はペンが初めてプラチナプリントで発表した作品でもある。
Hamiltons gallery / 64 ページ / ハードカバー / 346 × 295 mm / 9780954725716 / 2012