ドイツ人フォトグラファー、アルネ・シュミット(Arne Schmitt)の作品集。たった一つの素材、玄武岩へと捧げた一作。ドイツ西部、ラインラントファルツ州の北部にある都市マイエンと、マイエンの北東に位置するメンディヒのオストアイフェル採石場では、何千年も前からこの火山岩が採取されてきた。玄武岩は硬く多孔性の構造を持つことから石臼に最適とされ、広く遠方でも取引されていた。かつてオストアイフェル地方の家は玄武岩から作られていた。19世紀半ばの生産の最盛期には、この素材を中心とした一つの建築文化が生まれ、今でも街の多くの通りには艶消しの濃い灰色の家々が立ち並んでいる。作者が撮った多数のモノクロ写真においてはこの岩の異なる状態、仕上げのプロセス、様々な用途が並列されている。ひたすら一つのテーマを写し出したことによって、天然素材が文化的な商品に変身していく様子に焦点が当てられている。本書は2018年4月にBielefelder Kunstvereinで開催された個展「ORIGIN USAGE EXALTATION」に伴い刊行された。
Spector Books / 170ページ / ソフトカバー / 297 x 210 mm / 9783959052078 / 2018年