ニューヨークを拠点とする韓国人写真家、ジョンジン・リー(Jungjin Lee)の作品集。1990年代前半に作者は無限に広がる広大なアメリカを何度も旅し、砂漠、岩、下草、サボテンを撮り、古代や原始の時代を感じさせるイメージを作り出した。祖国韓国の伝統にインスピレーションを受けた作者は、胸に迫る詩情溢れる世界観の中で自然と文化に対する自己の根源的な興味を表現した『Ocean』、『On Road』、『Pagodas』、『Things』、『Wind』などのシリーズを通じて、独自の表現で写真の言語を磨き上げていった。作者は形あるもの、テクスチャ、技巧を深く理解し、作品に活かしている。米から作ったハンドメイドの紙にリキッドライトという感光乳剤を毛質の粗い筆を用いて塗り作られている。11のシリーズを収録しており、あわせて現代美術史家でありキュレーターのレナ・フリッチュ(Lena Fritsch)、現代写真を専門としたインディペンデントキュレーター、作家のへスター・ケイズル(Hester Keijser)、写真やメディアアート分野の教鞭をとりキュレーター、作家でもあるリズ・ウェルズ(Liz Wells)らが、作品を文脈に当てはめて考察したエッセイを収録。20年に渡る作品の概観を提示した初めての包括的な一冊である本書は、2016年9月から2017年1月までヴィンタートゥール写真美術館で開催された展覧会に伴い刊行された。韓国語、英語版。
Spector Books / 124ページ / ハードカバー / 305 x 220 mm / 9783959052153 / 2018年