テキサス州オースティン在住のマイク・オズボーンは、建築、風景、歴史、技術など様々なテーマに触れ、最終的に書籍や展覧会という形で作品を発表している写真家である。
連邦議会議事堂とホワイトハウスに挟まれた政府施設の名を冠したこの作品は、ワシントンDCを謎と危険と方向感覚の喪失に満ちた不可解な場所として描いている。本書は、数年にわたるワシントンDCでの権力にまつわるさまざまな事柄に遭遇する日々の生活体験から生まれた。
映画のエキストラのように、外交官ナンバーの車の横でイヤホンをつけた男たちが角に集まっていた。ジョージタウンの豪邸の裏の路地には、黒塗りのサバーバンが停まっている。庭師は塀に囲まれた屋敷に入る前にTSA方式の検査を受ける。
平凡だが好奇心をそそる、時には暗くて滑稽な、こうした権力の一端を垣間見ると、次々と疑問がわいてくる。
もし、ある人が偏執的な投影をする傾向があるならば、どのような出会いがその人の陰謀的な恐怖や幻想を呼び起こすのだろうか。
特に疎外感を感じる人は、どのような場面や状況で、権力の中枢に近いが遠いという逆説的な感覚を呼び起こすのだろうか。
マイク・オズボーンはこのような問いに絵画的に取り組んだ。日常の光景は、暴力や陰謀の可能性を帯びている。明らかにする以上のものを隠しながら、写真は、アメリカの政治生活の現在の瞬間の恐怖、疑い、機能不全、不条理を語る投影を誘うのである。
Gnomic Book / 144ページ / ハードカバー / 290 x 210 mm / 9780998518091 / 2019年