ドイツ人のアーティストピーター・グランサーは、2013/14年の日本でのアーティスト・イン・レジデンス滞在以来、現代アートと日本の茶道とのつながりに関心を持ち、2015年にプロジェクトスペース「ITO」を設立するに至った。
本書は、ピーター・グランサーがミュージシャンヤン・イェリネック(Jan Jelinek)と共にITOにて展開した、音、写真、建築が新しい全体として融合する計画プロジェクト「Zwischen/Raum(間/スペース)」についての一冊。
本プロジェクトでは、すでにある大きな(展示)スペースに統合することができる移動式休憩スペースが実現された。このスペースでは、日によって見学者向けにお茶会を開催する。部屋の構造は、ある部分を開放して、茶室から庭を眺めるように、外の景色を演出することが可能である。しかし、ここでは、抽象的な火山風景を撮影したグランサーの写真の景色が見えてくる。グランサーの写真「Shadows/Fields」は、火山のエネルギーによって形作られた自然、水が水蒸気に、灰が肥沃な土壌に変化する様子をテーマにしている。また、訪問者は、イェリネックがお茶を入れる時の音(茶釜や茶筅の音、抹茶の泡立て、茶陶の扱い、飲む音、すする音など)を録音し、それらを組み合わせて制作した15分の楽曲に基づくサウンドインスタレーションをヘッドフォンを通して聞くことができる。
古代中国ではすでに、眠気を払い、精神を鋭敏にし、人々の知覚を変化させる、茶の持つ固有のエネルギーとパワーが強調されていたのである。グランサーは、お茶の研究を個別の現象として捉えるのではなく、建築や音など他の芸術ジャンルと関連付けた。お茶は、アーティストである彼にとって、より持続的に人々にアプローチできるメディアとして作用する。彼にとっては、お茶を入れること、飲むこと自体が芸術的な美学となっているのである。
作家の自費出版 / 8ページ / カバー + 冊子 / 210 x 155 mm / 2022年
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