








ドイツの彫刻家カティンカ・ボックの芸術は、彫刻の分野にしっかりと根を下ろしながらも、映像や写真といったイメージの制作にも及んでいる。
中でも写真は、彼女が作品の「周縁部」と呼ぶものを構成しており、彼女と世界との間にある敷居として、多孔性と実験の場として機能している。
本書は写真に焦点を当てた初の展示に際し出版され、2015年から現在までの間に撮影された写真を収録。そのほとんどがこれまで展示されたことのないものである。
家族、都市、自然の中で、被写体のすぐそばで撮影されたイメージ群は、彼女が物体、空間、身体、生物に対して彫刻的な視線を向けていることを証明している。制作のインスピレーション源は形や関係の特異性を観察することであり、彫刻作品と同様、素早く世界の生命力のようなものを捉え、強すぎるコントロールや意図からイメージを解放することに注意を払っている。デジタルではない伝統的なアナログ手法の「遅れ」は逆説的ではあるが、このダイナミズムを維持することに貢献している。
"Der Sonnenstich"とはドイツ語で「日射病」を意味するが、この言葉が構成する2つの言葉「Sonne / ゾンネ」と「Stich / シュティッヒ」に着目して、より直訳すると「太陽の棘」となる。このタイトルは、カティンカ・ボックの祖父が書いた物語から借りたもので、彼女自身が最近発表した詩の中でも繰り返し使われている。ウィリアム・ヘンリー・フォックス・タルボットの 「自然の鉛筆」から、ロラン・バルトの有名な「punctum / プンクトゥム」(刺し傷、縫い目)、そして「写真」という言葉そのものに至るまで、写真史に関連するさまざまな用語が、イメージを碑文の場と見なしてきた。カティンカ・ボックにとって、「太陽の棘」は「写真」の別の言い方なのである。
Roma Publications / 92ページ / ソフトカバー / 314 x 246 mm / 9789464460346 / 2023年
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