






日本の写真家・須田一政の作品集。
本書には作者が1991年12月24日の東京で撮影した写真が収録されており、クリスマスイブの夜に見られる日本独特の習慣や雰囲気を捉えている。作者は、クリスマスが日本でどのように受け入れられ、祝われているかについて興味を持ち、その観察を写真に収めた。
「クリスマスにイエス・キリストに想いを馳せる日本人はどれだけいるだろう。とりあえずイヴはケーキを買って家庭にかえる、恋人達は一年で一番ロマンチックな時間を過ごす、こんな習慣が当たり前になっている。「バカヤロー、クリスチャンでもあるまいし」なんて急に仏教徒ぶってみたところでなんだか空しい。日本にとってクリスマスは「愛」という信仰を確かめる日なのだ。本来、愛情表現が不器用な国民にとって、これは一種の受難である。花束を差し出す仕種も西欧のそれとはほど遠い。受けとる方もうつペコッ頭をさげたりして、会ったとたんにギクシャクしちゃう。日本人が一番ダサく見えるのは、クリスマスイブなのかもしれない。そしてこのぎこちなさとともに、人はビルの間の闇に吸い込まれていく…」 須田一政(1991年)
Chose Commune / 60ページ / ハードカバー / 283 x 280 mm / 9791096383368 / 2022年