アンソニー・カロは、20世紀後半の彫刻表現を根本から変革した先駆的アーティストであり、その革新性によって「同時代で最も重要なイギリス人彫刻家」と評されてきた人物である。1960年代、彫刻を台座から解放し、床面に直接設置するというラディカルな一歩を踏み出したことで、鑑賞者と作品との関係性だけでなく、彫刻というジャンルそのものの方向性に大きな変化をもたらした。
本書は、カロの70年近いキャリアを網羅する決定版モノグラフであり、初期のヘンリー・ムーアの助手時代から2013年の逝去まで、代表作50点以上を当時の記録写真や本人のコメントとともに詳しく紹介する。ドキュメンタリーフォトでは、構想から制作、設置に至るまでのプロセスが丹念に捉えられており、彫刻家としての実像に迫っている。
加えて、アンソニー・ゴームリー、フランク・ステラ、リズ・ラーナーら現代作家による短文や、クレメント・グリーンバーグ、マイケル・フリードらによる重要批評が収録されており、カロの芸術的影響力と彫刻史における位置づけを多角的に照らし出す内容となっている。彫刻という行為そのものへの深い探求と、その継承を実感させる、貴重な一冊である。
PHAIDON / 464ページ / ハードカバー / 290 x 221 mm / 9780714867359 / 2014年