『Sounds of Spheres』の幻想的な写真において、マット・ヘネックは、私たちが自然とどのように想像的に関わっているのか、その印象的な姿を描き出している。
霧に包まれた夜明けの風景、雪を抱えた枝、風にしなるヤシの木といった伝統的な遠近法で捉えた世界であれ、あるいは上空から見下ろす蛇行する川のライン、砂の上に残された化石のような模様、うねり続ける海面であれ、ヘネックは自然そのものを記録するのではなく、自然が呼び起こす“幻影”を写し取っている。
柔らかく滲む輪郭、叙情的な色彩、そしてパターンへの焦点によって、彼のイメージは具象と抽象の間を行き来し、形を捉えながらも同時に覆い隠してしまう。
球体というアイデアは、一見無関係に思える対象をひとつにつなげる――山頂で顔のように佇む岩、沈みゆく太陽の輝く球体、凍った小さな宇宙の中にある氷結晶の丸い形、そしてそれらすべてが存在する地球という大いなる球体。
しかし、ヘネックの“球体”への魅了は単なる形式的関心にとどまらない。
彼は「球の響き(sounds of spheres)」を通じて、すべての生命が奏でる調和の振動へと耳を傾ける――それは秘められた響きでありながら、注意深く聴けば、誰にでも触れられるものなのだ。
Steidl / 84 ページ / ハードカバー / 305 × 320mm / 9783969991473 / 2023年