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本書は、オーストリア出身でパリを拠点に活動する写真家マルティン・エスル(Martin Essl)による写真エッセイ・シリーズの第1作である。タイトルはパリのメトロ駅「Château Rouge」に由来するが、ここでは現実の場所ではなく、架空の舞台として扱われている。
エスルはパリやヨーロッパのさまざまな場所を歩き、目的地を定めずに街をさまようなかで、日常に潜む独特の色彩や光を持ったイメージを見つけ出していく。人物や都市の風景、身近な物など、偶然出会ったさまざまな断片が、ひとつの連続した物語ではなく、自由な連想によって結びつけられている。
本書は、写真日記のような時系列や物語的な構成には従わず、異なる時間や場所から生まれたイメージを独自の順序で配置することで、ひとつの視覚的な世界を形成している。そこには、現実の断片からこぼれ落ちるものや、夢のようなイメージが混在しており、日常の観察から生まれた写真を通して、現実と想像のあいだに独自の世界を構築した一冊である。
Kehrer Verlag / 112ページ / ハードカバー・スリップケース付 / 260 × 196 mm / 9783868285987 / 2015年