





2015年から2016年にかけて、オーストリア・ウィーンにあるWinterpalais of Prince Eugene of Savoy(サヴォイア家ユージン王子の冬宮殿)にて、Olafur Eliasson(オラファー・エリアソン)の展覧会が開催された。本展に出品された作品群は、ティッセン=ボルネミッサ・アート・コンテンポラリー、およびフアン&パトリシア・ヴァルジェス(*1)の錚々たるコレクションのうち、エリアソンの名高い作品群をよりぬいて構成された。
20年間にわたる彼の作品群の集大成は、彼の作品とバロック様式の設えとの類似性を探求する。この二者の邂逅がもたらす空間、知覚、認識の変化が、いかようにして政治、テクノロジー、アントロポセン(*2)の領域を反映するのかを検証する。
エリアソン作品のなによりの特色は、鑑賞者に身体と感覚とで体感させることだろう。これまで彼の作品を観たことのあるひとならきっと、その身を以て得た記憶や体験を頼りに、本書を通じてこの会場で感じられたであろう醍醐味を追体験できるのではないだろうか。
*1 フアン&パトリシア・ヴァルジェス:アルゼンチンを拠点とする有力なプライベート・コレクター・カップル
*2 アントロポセン:地質年代区分として提唱される新しい時代区分の呼称。日本語では「人新世」とも言われ、「人類の時代」という意味を持つ。
Sternberg Press / 272ページ / ソフトカバー / 330 x 230mm / 9783902805935 / 2015年