本書は人間の手が加えられずに完成したアート作品を収録した書籍。蔦によって作られたフェンス、蜘蛛が巣をはったスニーカー、時間によって変化したミラーボールなど、人工物を道具としてそこに自然の力で発生した現象をまとめたもの。
本書の作者であるセマは掲載されている写真の撮影を別の写真家に依頼するなど、通常の作家という役割を避け、キュレーターとしてこの作品を提供した。そのことにより作品に文脈を与え、作家性に関して議論を進めるきっかけを作っている。
自然は私たちのことを気にも留めず、また常に私たちの世界をひっくり返すことが出来る。自然のプロセスが違えばその目的に向けて異なる手段を使い、異なる美学を生み出す。
自然を解釈するのは私たちだけではなく、私たちを解釈するのは自然そのものであるのだ。文化と自然は対極にあるものではなく、自然は芸術や作家性を持っているのではないかという問いに対して、ある種の答えとなっている一冊。
本書のカバーに使用されている紙は経年変化しやすい紙であり、時間によって背表紙に文字が浮かび上がる仕組みも面白い。
Nai010 Publishers / 112ページ / ソフトカバー / 280 x 220 mm / 9789462085169 / 2019年
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