滝沢がカメラを通し捉えてしまうものに建築物の断片や表面の形状、彫刻物がある。
それらの写し取られる対象物は、もともとの存在価値やそのものがあった場所の痕跡を宙刷りにされ、行き場のない表層の実体感(物質感と気配)だけが別のフォーマットに定着させられる。
中心を失うことで新たな象徴性だけが全面に現れ、切り取られたイメージの重なりはまた別の文脈を生む事になる。
この本に写っているものは、元来持たされていた意味や関係性を失ってもなお、そのものの気配だけが、紙にプリントされ移動し彫刻やモニュメントのように改めて変換される行為が映し出されている。喪失し残された側だけを集め建て直す行為へと変換される。
紙の集積を圧縮したような装丁はまるで時間が流れ風化し象徴性だけが存在する石碑のようであり、痕跡のモニュメント化を試みている。
変換された行為の紙束を立体化することで滝沢の写真の試みを実体化する。
(※ディストリビューターのテキストより)
Rondade / 40ページ / ハードカバー / 297 x 210 mm / 2015年
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