1974年ロシアの農村に生まれ、ニューヨークのニュー・スクール・フォー・ソーシャル・リサーチで学ぶため、98年に母国を離れたユーリー・トロプツォフ。本書には、目に見えないものを写真に収めるという使命のもと、東シベリアを訪れ撮影した写真が収められている。
あまりにも早く逝ってしまった父親を探す内省的な旅は、1974年に猟師デルス・ウザーラが住んでいた同じ場所を訪れ撮影した黒澤明の旅と交差する記録文書、古い写真、悠久のタイガや現代のシベリアの風景、断片や削除されたシーンが、ここでは物語の要素として配置されている。
それらは見えない道の端に落とされた手がかりや小石のようなもので、見る者は自分を見失うように誘われ、狩人は執拗な追跡を続けるように促される。
Kehrer / 96ページ / ハードカバー / 320 x 240 mm / 9783868285581/ 2015年