スイスのサーネンで開催されたエド・ルシェのドローイング展に際し刊行されたカタログ。ルシェはそれぞれのドローイングで、「x」を含む異なる短い単語や記号を描く。「x」は彼にとって究極の変数であり、他のアイデアに無限に適応できる代用品であることを表している。また,xは,彼が描く用語や名称(Bix,Mix,Fix,Taxなど)の文字通りの構成要素でもある。しかし、ルシェは言葉を抽象的な言語単位として扱いながらも、最終的にはその文化的な関連性が作用し、それぞれのドローイングには特定の文脈の中で対象を位置づける副題が付けられている。また同時に、ドローイングに描かれたグレーの色調、点描のテクスチャー、古典的なセリフフォント、だまし絵のピンなどは、石に刻まれたテキストのようであり、モニュメントや墓石との関連性を強く感じさせ、その「破れた」縁は紙の表面を描いているかのようでもある。
本書では、展示作品16点の複製と、インスタレーション写真を掲載している。
Gagosian / 40ページ / ハードカバー / 235 x 286 mm / 9781951449193 / 2021年