アメリカ人フォトグラファー、ケイシャ・スカーヴィル(Keisha Scarville)の作品集。作者は、自らのルーツを明らかにすべく、カリブ海とアメリカ間の移動の経路を辿ることに人生の大半を費やしてきた。帰属意識やアイデンティティの概念がどのように形成され構造化されるかを理解しようとして生み出されるイメージには、世代を超えた記憶の閾値に刻まれている潜在的な物語が視覚化されている。
作者にとって初の作品集となる本書は、印象的なモノクロの作品に、アーカイブ画像、書籍からの抜粋、コラージュ、個人的なテキスト、映画のスチール写真などが何かを暗示するかのように織り交ぜられた、不規則に広がる魅惑的なビジュアルエッセイとして展開していく。実践とアーカイブの間を行き来しながら、従来の直線的な歴史を破壊することで新たな系譜を生み出すことの意味を考察するために、作者はアーティストブックというフォーマットを用いた。こうして出来上がった作品は、黒人のディアスポラを描いた個人的・歴史的ないくつもの物語の多様性の旅となった。本書において作者は、世界中に散らばった黒人のディアスポラ的想像力によって形作られる過程について考察している。
アフリカ系アメリカ人で詩人・作家のハーモニー・ホリデー(Harmony Holiday)による文章を収録。
(ディストリビューターのテキストより)
MACK / 168ページ / ソフトカバー / 250 x 200 mm / 9781915743183 / 2023年