写真家ハリー・グリュイエールは、1972年に初めてモロッコを訪れて以来、その土地に深く魅了され続けてきた。彼にとってモロッコは、形と色、人々と自然が織りなす見事な調和の地であり、再訪のたびに、初めて感じたその鮮烈な感覚を写真というかたちで再現しようとしてきた。
本書は、ハイアトラス山脈から広大な砂漠地帯、農村の風景からマラケシュやエッサウィラの賑わう街角まで、グリュイエールが長年にわたり見つめてきたモロッコの光景を収めた写真集である。彼のレンズは、光と影がかたちづくる質感や空気感をとらえながら、同時に見る者を夢のような、映画的とも言える旅へと誘う。
1枚1枚の写真には、それぞれ固有の力が宿っており、モロッコの人々にとっての家族や共同体、信仰の大切さが浮かび上がる。また、異なる現実を理解しようとするグリュイエール自身の本質的な好奇心と眼差しも、作品の根底を流れている。
Thames & Hudson / 208ページ / ハードカバー / 235 × 290 mm / 9780500027950 / 2024年